2013年4月16日火曜日

なぜタクシーに軽自動車は使われないか?

普段から今後何で食っていくかを模索してます。

その検討候補の一つに福祉事業があって、更には福祉タクシーというのがあります。福祉タクシーはハイエースを用いた大型のものから、車椅子1台乗せるだけの軽自動車まで幅広い車種が用いられているんですね。

そこで気付いたのは通常のタクシーの事です。福祉タクシーにはバラエティに富んだ車種が用いられているのに対し、タクシーはそのほとんどがトヨタ クラウンか日産フーガですよね。最近はプリウスが増えて来ましたけれども。

その他には、実はミニバンタイプも選択出来ますが、これは送迎専門だったり空港専門だったりして、流しのタクシーで走っているのはまず見たことがありません。

じゃあ、軽自動車は?車体も安いし税金も安いだろうし、運賃安くできそうじゃない??って思うに至ったのでその理由を調べてみました。

1.安全基準に満たない
 軽自動車は安全基準に満たないので一般乗用旅客自動車運送事業(通常のタクシー事業)には不適格なんだそうです。が、電気自動車であれば軽自動車基準でも特例で可、ってこれは何でしょう?環境問題の前には乗客の安全も地にひれ伏すのでしょうか。


2.車両の耐久性の問題
 通常のタクシーは1年10万キロくらい走って、40万キロくらいが寿命の目安みたいです。一方、軽自動車は20万キロオーバーの報告はあるので、車両価格が半値以下であればペイしそうですが、そんなに簡単な話ではなさそうです。というのも、タクシーでは修理コストは重要で、耐久性が高いからFRが好まれるとか、LPガスの方がエンジンに優しいという視点もあるようです。軽自動車でLPガス車って無いですよね。

3.運転手の疲労
 1年10万キロを365日で割って運転手2交代として計算すると、1日運転手一人あたりで140kmくらい走ることになります。それだけ走るのであれば乗り心地もコスト計算に入れて良さそうです。

4.タクシーの運賃は認可制
 タクシー運賃は行政の認可制です。一応自由競争ですが、横並び以外はあまり見たことありません。数年前に都内でもワンコインタクシー(初乗り500円)とか走ってましたが、今は見かけることも無くなりました。ワンコインタクシーは大阪の方が活発だったようですが、そんな安い金額じゃダメだと行政指導が入ったようです。オイオイ。
 あとなんか、ワンコインタクシーは安かろう悪かろうだよっていうステマっぽい投稿が散見されました。数回乗ったことがあるだけですけど、違いがあるようには思えませんでしたが。


上記で4つほど挙げましたが、タクシー事業の営業費用は人件費が大きいみたいなので、仮に軽自動車で多少コストダウンできたとしても運賃が劇的に下がることは無いみたいです。

でも、タクシー運転手の平均年収って高くないですよねぇ。

タクシー運転手の平均年収

上記Webページのグラフは厚労省のデータを用いて作成されているようなので、信頼性はまずまずあるのでしょう。平成22年で平均278万円(時給ベース1079円)は他の仕事と比較しても低いように感じられます。これだけ安いのでは運賃を下げて競争力を上げるなんて夢のまた夢です。

一方で、興味深いグラフがあります。

タクシー業界の現状について (このPDFの2ページ目)

公共料金の推移(3.タクシー料金)

東京だけの運賃で語るので多少割り引いて読んで下さい。平成19年12月を境に運賃が初乗り・距離共に値上げとなってます。特に初乗りは50円アップして700円台になったのはインパクトが大きかった記憶があります。

一方、PDF側の数値を見ると値上げをきっかけに各数値の下落が加速しているように見えます。平成20年9月にリーマン・ショックがあったので、その影響も見逃せませんが。

でも、 ここ数年のタクシー業界の動きは車両数は減り、客も減れば営業収入も減る、そして運転手の収入も減るというデス・スパイラル状態です。

ただ、 平成21年の「タクシー適正化・活性化法」を境に日車営収(タクシー1台1日当たりの売上)はやや反発してます。この法律はタクシーの数を適度な数に抑え、運賃を減価+適正な利潤で計算されたものに設定するという、競争とはまるで逆の環境にしてしまいました。

というわけで、軽自動車でタクシー業界に乗り込むどころか、どっぷり保護された環境(でも運転手はギリギリの低収入で生殺し)で普通乗用車での新規参入すらままならないみたいです。経営側は安定していいかもしれませんけどね。

しかし、タクシーは何と戦っていくんでしょうか?運賃が高ければ乗る人も増えないし、競争環境になければ創意工夫も生まれないのに。しかも、都営バス・地下鉄の24時間化といった話も出てきてますし。

0 件のコメント:

コメントを投稿